認知症の家族が、
「そこに子どもがいる」
「猫が歩いている」
「虫が見える」
そんなことを言われて戸惑ってしまうこと、あると思います。
それは、「幻覚」と呼ばれる、認知症の方に見られる改善可能な症状のうちの一つです。
そんなときついつい、
「そんなのないよ」や「気のせいだよ」
と否定してしまうこともあるでしょう。
もちろん私たちには見えていませんが、本人からすると、本当にみえている世界でもあります。
1.本当のことを伝えるのは正解か|幻覚を優しく否定しても起こること
例えば、
「そこにはいないから大丈夫だよ」
と優しく伝えたとします。
その場合も、本人からすると
「見えているものを否定された」
ことには変わりありません。
本人からすると、映像は鮮明に見えているんです。
そのため、「ない」と否定されると
・混乱する
・不安になる
・「わかってもらえない」と感じる
ことがあります。
そして結果として、幻覚を含めたBPSDがさらに強くなってしまい、認知症を進行させてしまうことがあります。
2.幻覚への対応で大切なこと|その世界を否定しないことだけではない
幻覚への対応で大切なのは、
「その世界を否定しないこと」です。
しかし、それだけでは不十分なこともあります。
さらに踏み込むと
「その世界に入り込むこと」です。
例えば、
「猫が寝ている」
といわれた場合
「気持ちよさそうに寝ているね」
「こんなところで珍しいね」
などと、その世界に合わせて会話をしてみます。
3.本人は幻覚にどう感じているか?|不安を減らすよう関わる
また、本人が幻覚に対して不安を感じている場合は、
「そこにはいないから安心して」
ではなく、
本人が見えている世界の中で安心してもらう
ことが大切です。
例えば、人の幻覚に不安を感じているのなら
「今は点検に来ているだけみたいだよ」
「ちょっと様子をみにきているんだよ」
など、「害のない存在」として説明します。
虫なら、
「悪さしてきそう?」
「じゃあ少し離れていようか。後でやっつけておくね」
といった関わり方をすると思います。
ここでのポイントは、
・お相手の見えている世界に合わせながら、
・「かもしれない」などの不安に感じる要素はできるだけ残さなずに設定を作る
ことで、落ち着くことがあります。
4.そもそも幻覚が見える背景は?|その背景には不安がある
幻覚は単なる症状というだけでなく、背景に不安や混乱が隠れていることも多くあります。
また、不安や混乱があまりない方では、幻覚が見えていても比較的落ち着いていることがあります。
そのため、「幻覚を消そう」とするのではなく
「本人が何に不安を感じているのか」
を意識することが大切です。
例えば先ほどの
「猫が寝ている」
の例では、
・何か心が落ち着かない
・そわそわする
・寝不足、寝られない
など、癒しや落ち着きを求める不安が背景にあることが考えられます。
それを意識した関わりをすることが重要です。
5.不安を解消するためにできることは?|環境を整える
幻覚は環境を整えることで不安を解消できることもあります。
例えば、夕方や夜間に幻覚が強くなるなら、
・日中の活動量を増やす
・生活リズムを整える
ことが対策に繋がることがあります。
また、
・壁のシミ
・影
・散らかった部屋
などが幻覚のきっかけになる場合もあります。
壁のシミを隠したり、部屋のレイアウトを整理し、
幻覚の原因になりそうな環境を整えることも大切です。
6.認知症の幻覚をつい否定してしまうことは自然なこと|まとめ
認知症の幻覚に対して、
「そんなのいないよ」
と否定したくなる気持ちは自然なことです。
しかし、本人にとっては本当に見えている世界であり、
否定されることで混乱や不安が強くなってしまうことがあります。
大切なのは、
・その世界に入り込むこと
・不安を減らすこと
・環境を整えること
です。
また、幻覚の見える方の詳しい背景や環境設定の仕方、関わり方については以下の記事でも詳しくまとめています。ぜひご覧ください。
⇒【家族向け】認知症の人の幻覚・幻聴とは?原因と対応方法・対策のヒント
幻覚への対応は、家屋介護の負担の大きな原因の一つでもあります。
少しでも本人の不安や混乱を減らしながら安心できる関わり方を意識していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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