高齢になってくると、家族が昔好きだった趣味を徐々にやらなくなることがあります。
・散歩
・裁縫
・庭仕事
・囲碁や将棋
・釣り
・山登り
これまで楽しんでいたことなのに、徐々にやらなくなってしまうと
「年齢のせいか?」
「やる気がなくなってしまったのか?」
「もしかして認知症の始まり?」
と心配になる方も多いと思います。
本人からすると
「面倒くさくなった」
「今はもうできない」
と、一言で片づけられがちですが、その背景には様々な理由が隠れていることがあります。
1.運動習慣の大切さ|体力の低下を感じ始める
年齢を重ねると、これまで当たり前にできていたことでも疲れやすくなります。
特に、
・散歩
・山登り
・ガーデニング
・買い物ついでの外出
など体を使う趣味は、本人が思っている以上に負担になっています。
そのため、これまで通り同じように趣味をやり続けると、疲労がたまってしまうのです。
また、この経験が続くと趣味から足が遠のいてしまいます。
2.出来栄えが悪くなると起こること|趣味はなぜ楽しくなくなるのか?
裁縫や絵、料理、工作など「何かを作る趣味」の場合は体力だけでなく
・指先の細かい動き
・集中力
・目の見えにくさ
などが影響します。
その結果、
「前よりうまくできなくなった」
「こんな出来ならやりたくない」
と感じ、趣味から離れてしまうことがあります。
これは、やる気がなくなったわけではなく
プライドや理想に追いつかないため楽しさが損なわれている状態とも言えます。
3.趣味がなくても保たれている生活は何が問題なのか
私たちの生活は「起きる」「食べる」「寝る」の基本的な生活に加え、
・仕事に行く
・仲間と飲みに行く
・趣味をする
・映画や動画をみる
といった、社会との関りを保ったり自己満足感を高める行動をすることで
「喜・怒・哀・楽」の感情が保たれています。
つまり、これらの趣味活動や社会的な参加活動がないと
・起きる
・食べる
・寝る
の「ただ生きているだけ」の時間になってしまいます。
嬉しいや楽しいの感情だけでなく、悲しいなどのマイナスな感情すら持たない時間となるため、
「意味を持って何かをする時間」
は認知症予防や生活意欲の維持にとても重要となります。
4.やらされる脳トレより、自分でやる趣味が大切
家族としては
「運動したほうがいい」
「脳トレをやらないとだめ」
と勧めたくなることもあると思います。
もちろん悪いことではありませんが、本人にとって
「やらされている課題」
になってしまうと、効果は半減どころかむしろマイナスになることもあります。
学生時代のスポーツや勉強でも
・やらされている課題
・自ら挑戦している課題
では身に付き方が違います。
高齢になってからも同様で、本人が
「やってみたい」
「自分でやっている」
と感じられることが自己肯定感や意欲につながります。
5.趣味を再開するために家族にできること|一緒に行う
趣味を再開するときにお勧めなことは
一緒に行うことです。
例えば
・一緒に散歩する
・一緒に庭いじりをする
・一緒に裁縫道具を広げる
などです。
一人で再開するより、心理的な負担が下がります。
6.得意なことはコーチになってもらう|現役から監督へ
プロスポーツ選手が引退後に監督として指導する。といったことがよくあります。
それと同様に、昔得意であった裁縫や料理について
教えてもらう立場にたつことはとても効果的です。
こうすることで
「自分にはまだできることがある」
「役に立てる」
「同じ趣味を持ってくれる仲間がいる」
といった感覚につながり、
・嬉しい
・悔しい
・楽しい
といった感情を共有しやすくなります。
7.趣味再開の重い腰を上げるためにできること|最初のハードルを下げる
いきなり「久びさに散歩しよう」
と言われても
・どこまで歩くのか
・どれくらい疲れるのか
・途中でしんどくならないか
がわからず、面倒に感じやすくなります。
そんなときは、
「これならできそう」と思ってもらえるような具体的な誘い方をすることが大切です。
例えば、
「庭の花に水やりをするから一緒に見に行こう」
⇒「庭までならいってもいいか」
と思いやすくなります。
長い距離を頑張ってやってもらいたくなる気持ちはわかりますが、
再開してもらうためにはこのように最初のハードルを下げるようにしましょう。
8.趣味活動を継続させるためのコツ|楽しみの不確定要素とは
趣味を継続させるためのコツは
少し楽しみが読めないこと
です。
例えば、散歩でも
・今日はマンションの管理人さんに会えるかもしれない
・犬の散歩にたまに鉢合わせることがある
・季節で別の花が植えてある道がある
といった小さな変化や、不確実な楽しみがあると人は継続しやすくなります。
反対に、
「いつでもできる」
「毎回同じ」
だと、いつでもいいため楽しさが薄れたり、飽きやすくなってしまうことがあります。
9.趣味を再開してもうまくいかないときは|まずは気持ちに共感
趣味を再開しても
「やっぱり前みたいにできない」
「もうダメだなぁ」
と落ち込んでしまうことがあると思います。
そんなとき、
「そんなことないよ」
と、励ましたくなるとも思いますが、まずは気持ちに共感することが大切です。
例えば、
「昔できていた時と比べると確かにそう感じちゃうかもね。」
「昔は本当に上手だったもんね」
などです。
そのうえで、
「今でも十分上手にできているように見えるよ」
と伝えるほうが、本人の心には届きやすくなります。
10.趣味はなぜ行うのか?|必要なことは心理的ニーズを満たすこと
まず、趣味活動はそもそもなぜ行うのかを改めて考えてみると、
その人の心理的なニーズが満たされるからです。
・人と共にあること
・誰かの役に立っているという認識
・自己肯定感
・承認欲求
など、これらは人間誰しもが持っている心理的なニーズです。
つまりこれらを意識して、
「趣味を通して何を感じられるか」を考えることが趣味活動を再開・継続してもらう上で大切です。
また、心理的ニーズについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
⇒【家族向け】重度認知症でもできること|心理的ニーズから考える本人中心のケア
最後までお読みいただきありがとうございました。
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