【家族向け】認知症になっても失われないもの|感情・記憶力は残る?

【家族向け】

認知症は進行性の病気と知られているため、
「記憶力も、身体機能も少しずつすべてが下がっていく」
と思われがちです。

しかし実際にはすべての機能が一斉に低下していくわけではありません。

保たれるものもあれば、むしろ育まれたり、高まりやすくなるものもあります。

1.認知症の方が苦手になりやすいのは「記憶を言葉で扱う力」

例えば、アルツハイマー型認知症では、
・記憶を保持する
・記憶を言葉にして説明する

といったことが苦手になりやすいです。

「いつ」「どこで」「何をした」といったエピソードを説明する記憶は徐々に難しくなっていきます。
その結果、会話がかみ合わなくなったり、話が飛んだりする場面が増えていきます。

2.一方で認知症の方の「感情」は保たれやすく、むしろ敏感になる

その一方で感情そのものは比較的保たれやすいと言われています。
むしろ、
・人の話し方
・声のトーン
・表情や雰囲気

といったものに敏感になりやすいこともあります。

これは、記憶が残りにくくなり、会話の意味がうまく理解できない場面がふえると、本人の中には漠然とした不安がたまりやすくなります。

その不安を和らげるために、言葉の内容よりも、「どう話しかけられているか」に敏感になり、安心感を得ようとする傾向にあります。

つまり、認知症の方は「思い」が残存していますが、表出することが難しくなっています。
この「思い」を表出できる・受け入れられる環境が認知症ケアでは最重要と言っても過言ではありません。

3.認知症の方が怒りっぽく見えるのは、不安の表現でもある

特に自尊心の高い方ほど、できなくなっていくことへのショックが大きくなりやすいです。
結果、怒りとして表出されることもあります。

これは、性格が変わったというより、不安や戸惑いの表現と解釈するといいかと思います。

このとき、周囲にどんな人がいるかなど、環境によって表出のされ方が変わってくると思います。
例えば、
・「大丈夫だよ」の声掛けで本当に大丈夫になったり、
・「できないこと」ではなく「できること」を褒めてくれる
・「これやってみよう」と、新しいことやできることを提案してくれる

こうした関わりがあると、感情の落ち着きは変わってきます。

4.認知症の方への声掛け|感情が表出できる環境へ

介護に慣れてくると、どうしても
「着替えて」
「立って」
「ご飯だよ」
といった、日常生活で必要最低限の声掛けが中心になりがちです。

しかし、そのような声掛けのみでは自身の感情を表現する機会が減っていきます。
例えば、
・あの花きれいだね
・今日は天気がいいけど何がしたい?
といった声掛けは、本人の感情を探るきっかけになったり、本人が感情を表現するきっかけになります。

こうしたやり取りを積み重ねることで、認知症の方にとって「自分を表現できる環境につながっていきます。」

5.認知症の人が覚えていられる記憶|体で覚えていること

記憶には大きく二つの種類があります。
①言葉で説明できる記憶
②言葉にしにくい記憶

①は先ほどにも説明した、エピソードで話せる「いつ」「どこで」「何をした」といった記憶です。
これは、認知症の方が保持するのはなかなか難しいこととなります。

一方で②は
・自転車の乗り方
・長年繰り返した動作
・体が自然に覚えている感覚
これは、体が勝手に覚えていることであり、認知症になっても保たれていることが多いです。

むしろ、認知症になってからでも、繰り返し行うことで覚えることができる可能性のある記憶だと私は思っています。

また、こうした「体での記憶」は自己表現できる環境に直結することがあります。

たとえば、
・昔からやっていた掃除
・趣味でやっていた編み物
これらは体で覚えており、できることがあります。
これらが自らできる環境を作ることで過去の自分や今自分がやりたいことの表現を、体の記憶で行うことができます。

6.認知症の方への旅行は覚えていないから意味がない?|外出への大きな意味

たとえば、「どうせ覚えていなし旅行に連れて行っても意味がない」
言われることがあります。

あとから
「旅行になんていっていない」
「もう何年もお出かけしていない」
なんて言われてしまったら、確かに悲しい気持ちになるかもしれません。

ですが視点を変えて考えてみましょう。

記憶力が未発達な3歳児を例にしてみます。
・毎日怒鳴られながら育った子
・旅行や外遊びなどに連れて行ってもらいながら育った子

どちらも当時の記憶は残っていなくても、
・感情の発達
・知的発達
・精神的な安定
これらが大きく違ってくることがわかっています。

認知症の方も、記憶が障害されているという意味では同様です。
覚えていなくても、感情はその後の人生を形作り、安定にも不安定にもつながります。

7.認知症の方が覚えていられること|育つもの・保たれるもの

認知症になるとできなくなることは確かに増えていきます。
ですが同時に
・感情の豊かさ
・体での記憶
・周囲の環境
がより大きな意味を持つようになります。

「なにができなくなったか」だけでなく
「何ができるか」「何が育っているか」

これらの視点を持ち、本人が「思い」を表出でき、汲み取れる環境を作ることが、認知症の方が安心して過ごせる関わり方かと思います。

また、本人に強く当たってしまったり、家庭での介護に限界を感じている方がいましたら
ぜひ以下の記事もご覧ください。
【家族向け】家族を介護施設に入れることに抵抗を感じてしまうあなたへ

最後までお読みいただきありがとうございました。
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