【医療従事者向け】いわゆる「昭和頑固オヤジ」への対応|背景理解と関わり方のポイント

【医療従事者者・介護士向け】

現場で働いていると、
スタッフの言うことをなかなか聞かなかったり、クレーム気質であったり、自分の考えを頑なに変えない、いわゆる「昭和頑固オヤジ」と呼ばれるような患者さんに対応することがあるかと思います。

近年は認知症ケアにおいて「傾聴」が重要視されていることもあり、多くの医療従事者がまず共感することを意識して関わっていると思います。

もちろん、傾聴は非常に大切な対応です。
実際にクレーム気質の方でも、共感を中心とした傾聴をすることでその場が落ち着くケースも多くあります。

しかし一方で、傾聴の使い方を誤ると、その人の心理的な成長を妨げてしまう可能性があることも現場では感じます。

今回は、そんな「頑固オヤジ」と呼ばれるタイプの患者さんの背景と私が現場で意識している関わり方について整理してみます。

1.傾聴・共感が逆効果?|傾聴だけでは解決しないこともある

いわゆる「頑固オヤジ」と呼ばれる方の主張は、多くの場合「自分に責任がない」という前提で語られることが多い印象があります。

この状態の方に対して、すべて受け止めたり、共感する形で傾聴を続けるとどうなるでしょうか。
・「自分のことを理解してくれている」ではなく
・「俺の言うことが正しいのが当然だ」
という認識をより強化させてしまうこともあります。

そのため、大切なことは傾聴するタイミングを見極めること
そして、本人が自分の責任を自認できる関係性を作ることです。

これは簡単なことではなく、ラポール形成ができていないとむしろ逆効果になることもあります。

そのために私は、日常の介入のなかで「背景理解」を進めることを重視しています。

2.まず理解すべきはその人の背景|なぜ頑固オヤジになるのか

「なぜこの人はこのような性格になったのか」
ここを考えることが重要です。

その人の
・人生経験
・家庭環境
・尊敬している人物
・なりたい人物像
などを理解すると、行動の意味が見えてくることがあります。

例えば、幼少期から家族関係に問題があり、十分な「無償の愛」を受け取ることができなかった方の場合、
「自分が偉い」という態度をとることで周囲を従わせようとし、信頼されていると感じる対人スタイルを身に着けていることがあります。

また、これまでの人生で身近な人からの小さな嘘や裏切りを多く経験してきた人は他者を信用することが難しくなります。
その結果
・将来に対する確実性が持てない
・目先の安心を優先する
・一つのものに固執する
といった傾向が生まれやすくなります。

その結果「今までこの薬を使っていたからこの薬でないとだめだ」
などといった発言が聞かれることがあります。

実際にこういった背景を持っていた方は少なくない印象です。

3.欠点の自覚方法と許容|リフレーミング

私が対応するときに指揮していることのうちの一つは
本人が自認している欠点をリフレーミングして認めることです。

リフレーミングとは、物事の見方を変えることです。
例えば、「優柔不断な性格」を「物事のメリット見つけることがうまく、慎重に考えることができる人」と言い換えるようなものです。

このように、本人が気にしている部分を否定せず、むしろ価値として捉え、伝えることで
「ここでは見栄を張らなくても認めてもらえる」という安心感が潜在的に生まれ、信頼関係が深まることもあります。

自分が優位に立たなくても認めてもらえると感じると、防衛的な態度が緩むことも少なくありません。

4.意識すべき頑固オヤジに対する対応|曖昧な説明を避ける

もう一つに大切にしていることは、曖昧な表現や嘘はできるだけ避けることです。

例えば
「ちょっと待ってください」
という言葉

スタッフ側の「ちょっと」と患者・利用者の「ちょっと」は認識に大きなズレが生じていることがあります。

そのため、「○○をしてくるので〇分くらい待っていてください」
のように、できるだけ具体的に伝えることを意識します。

また「薬でこの痛みはよくなるのか」といった質問もよく来るかと思いますが、医療従事者としては断言は避けたい場面だと思います。

その場合「見立て」「事実」「今後の方針」を分けて説明する必要があります。

「痛み止めなので効いてくるとよくなるかと思います(見立て)が人によって効き方が違く、効かない人もいます。(事実)そのときは先生に相談して量や種類を調整してもらいましょう。(方針)」

のような形です。
そして何より大切なことはこうした対応を全職種・スタッフ間で統一化し、情報共有しておくことです。

情報共有が不十分で対応が統一かされていないと、
・「あの人はこう言っていた」
・「話が違う」
とトラブルの原因となります。

返答の統一化されてない質問をされた場合は、
「確認しないとわからないため、○○に確認して○○までにお伝えします。」
と曖昧なまま返答せずに改めてお伝えする日時を決めておきましょう。

5.リハビリ拒否へのアプローチ方法|課題難易度の設定

このようなタイプの方はリハビリを拒否するケースも多くあります。
よくある理由は「失敗する姿を見られたくない」という潜在的な意識です。

そのため、「できる課題から始めて徐々に難易度を上げていく」
という方法が一般的な難易度設定の方法だと思います。

もちろん、このアプローチ方法は間違いではなく、実際にうまくいくケースも多いです。

しかし、別のアプローチ方法として
「最初から絶対に失敗する課題」を提示する方法
もあります。

例えば、「階段昇降をやりたいのですが15㎝の段差と40㎝の段差があります。どっちでやりますか?」
と提示し、「40㎝の段差は今までできた人はほとんどいません。僕でもなかなか難しいかもしれません。」と伝えます。

この場合最初から失敗することが前提となっている為
「失敗しても恥ずかしくない」
という心理から、挑戦してくれることもあります。

6.リハビリ拒否に対する介入方法を構造で考える|成功体験とドーパミン

少し構造的にみると、こういった方々は先ほど述べた通り一つのものに固執したりと依存的な傾向を持つことがあり、脳報酬系(ドーパミン)に反応しやすいことがあります。

ドーパミンは成功体験の曖昧さがあるときに分泌されやすくなります。

そのため、「できる課題」「できない課題」を使い分けながら最終的には
「できるかどうか曖昧な難易度」
に近づけていき、リハビリを行うことが拒否なく介入するためのコツのうちの一つとなります。

7.「昭和頑固オヤジ」と呼ばれる方に対する対応のまとめ

いわゆる「頑固オヤジ」と呼ばれる方への対応は、
単に
・傾聴する
・説得する
といった方法では難しいことがあります。
大切なことは
・その人の人生背景を理解すること
・責任を自認させること
・曖昧な対応を減らしていくこと
です。

行動だけ見るのではなくその人の背景や心理を理解することで、対応の幅は大きく広がると感じています。

また、リハビリ拒否に対する対応方法は以下の記事にまとめています。合わせてご覧ください
【医療従事者・介護士向け】認知症ケアにおけるリハビリ拒否・入浴拒否に対する考え方と対応

最後までお読みいただきありがとうございました。ご質問・ご相談がある方はこちらのお問い合わせページからお気軽にどうぞ。

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