【医療従事者・介護士向け】難聴の方の気持ちとは|コミュニケーションの取り方・関わり方

【医療従事者者・介護士向け】

現場で働いていると難聴のある方と関わる機会が多く、コミュニケーションがうまくいかないと感じる場面も少なくありません。

・大きい声を出さなければならない
・強い口調に聞こえていないか不安
・うまく伝わらず、無言で介助してしまう
こうした経験がある方も多いのではないでしょうか。

しかし、難聴がある方が感じているのは単なる「聞こえにくさ」だけではありません。
背景にある、心理的な負担やストレスを感じている場合がほとんどです。

1.難聴がもたらす「会話からの離脱」

難聴の方とのコミュニケーションは、どうしてもエネルギーを使います。
・聞き返す
・大きな声を出してもらう
・内容を憶測する

こうしたやり取りは本人にとって負担が大きく
「話すこと自体をやめてしまう」
という選択につながることがあります。

結果として
・会話機会の減少
・社会的孤立
・認知機能低下のリスク
・不穏やストレスの増加

といった悪循環に陥る可能性があります。

2.難聴の方は「ほかの感覚」で世界を見ている

耳からの情報が少ないため、難聴の方は

・視覚
・触覚
・人の雰囲気や気配
といった他の情報・感覚に敏感になっていることがあります。

3.難聴の方は人の気持ちを「推測」で補うことも

特に大きいのは、「人の気持ちを推測する力」です。

ただしこれは、実際の情報ではなく過去の経験からの推測であることが多いです。
そのため、
・「悪口を言われているに違いない」
・「迷惑をかけているのではないか」

といったネガティブな解釈につながることがあります。
結果として
・トイレを我慢する
・痛み等の体の不調を訴えなくなる
・常に怒りっぽくなる

といった状態に陥ることもあります。

4.難聴により視覚が敏感になると起こること

音の情報が少ない分、視覚から多くの情報を得ようとするため
・周囲の動きに敏感になる
・注意散漫になる

といった特徴がみられる場合があります。

その結果として日中の疲労感、生活リズムの不整につながることもあります。

5.難聴の方にとっての触覚の敏感さと筋緊張

難聴の方にとっては触覚も重要な情報源です。
・触れた感覚
・温度
・重さ

などから状況を判断しようとするため、敏感になりやすくなります。
また、危機回避的に筋緊張が高まりやすくリラックスしにくい状態になることもあります。

そのような場合、環境や物の配置を一定に保つことで徐々にリラックスしやすくなるため重要となります。

6.難聴・耳の遠い方と円滑なコミュニケーションをとるコツ

では、実際に耳の遠い方と円滑にコミュニケーションをとるには
・声をかける位置
・表情
・話し方 
にコツがあります。

意識をしながら円滑にかつ相手に不安感を与えずにコミュニケーションをとるようにしましょう。

7.難聴の方に声をかけるのは耳元ではない?|大切なことは聞き取る準備

難聴の方とコミュニケーションをとろうとすると、つい耳元で話してしまいがちです。
しかし基本は「顔が見える位置」で話すことが原則です。

・遠くから視界に入る
・徐々に近づく
・顔が見える位置で話す
この流れがあると

・表情がわかる
・安心感が生まれる
・話を聞き取る準備をしてもらえる
ようになります。

飽くまで耳元での会話は最終手段として捉えるようにしましょう。

8.耳が遠い方と話す際の「声の大きさ」よりも大切なこと

よく、大きな声で話してしまうと強い口調に聞こえてしまい、不安感を抱かせてしまうことがあるかと思います。

実は耳の遠い方と話すときは「声の大きさ」よりも大切なことがあります。
それは、「口を大きくはっきり動かすこと」です。

可能な範囲でマスクを外し、口の動きで伝えるようにすることで
大きな声でなくても伝わることが多いです。

9.難聴の方に話す内容は短く、シンプルに

長い文章は伝わりにくいです。出来るだけ無駄な情報は減らしましょう。

例えば、私たちも英語を聞くときに文法がわからなくても単語がわかれば全体の文章がわかることがあるかと思います。

それと同様に、
・単語をはっきりと言う
・無駄な情報を減らす
・短い分で伝える
ことが重要です。

敬語として使う「です」「ます」も無駄な情報になり得ることがあります。
相手との関係や性格を十分に考慮したうえで話し方を工夫しましょう。

10.難聴の方が苦手なこと|声色で感情が伝わらない

難聴の方と話す際は声の大きさや低さを工夫しているため、声色で感情を表現しにくいです。
そのため、実際の感情とは違うように伝わってしまう場合もあります。

・頷きなどの相槌を大きく
・笑顔を意識する
・ジェスチャーを大きく使う
といった工夫をすると安心感を得たまま会話することができます。

11.難聴・耳が遠い方とコミュニケーションを取る際に一番大切なこと

技術的な工夫ももちろん大切ですが、最も重要なことは
「あなたと会話がしたい」という姿勢や雰囲気です。

・話しかけようとする態度
・関わろうとする雰囲気
は難聴の方にもしっかり伝わります。

その結果、「ここでは聞こえなくてもちゃんと話を聞いてもらえる」とここにいても良いという安心感を持ってもらうことができるようになります。

12.難聴・耳が遠い方の性格や心理状態を理解する大切さ

難聴のある方に対する会話は「声を低くする」「大きい声を出す」といった、たんに聞こえやすくする工夫だけでは不十分です。

・会話から離れてしまう心理
・推測による誤解
・感覚の変化

といった背景をご本人の性格などを考慮した上で理解することが重要です。

そのうえで
・環境を整える
・伝え方を工夫する
・関わろうとする姿勢を持つ

ことでコミュニケーションは大きく変わります。

また、コミュニケーションが難しい方でも必ず「欲求」はあります。
それを理解したうえで関わることでより理解が深まるかと思います。
人間であれば必ず持っている「欲求」については以下の記事でまとめています。合わせてご覧ください
【医療従事者・介護士向け】重度認知症ケアで大切な「心理的ニーズ」とは?現場で役立つケアの目標の立て方

最後までお読みいただきありがとうございました。
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