こんにちは。さかもとです。記事をご覧いただきありがとうございます。
現場で働く皆様は、認知症の方々の「拒否」に対応する機会があるかと思います。
・「体を動かすのは面倒くさい」
・「お風呂はさっき入ったから行きたくない」
このとき、「傾聴」や「共感」のみで対応をして拒否を受け入れてしまっては
・私たちの仕事が回らない
・患者様の身体機能に影響が出てしまう
・ほかの利用者様の迷惑になる
といった様々な影響が考えられ、とても悩むことかと思います。
しかし、「拒否」に対しての考え方を変えれば私たちの対応も変わり、グッと関わることが楽になります。
「拒否を尊重すること」と「専門職として必要な介入を行うこと」の両立に悩んでいる方に向けて、
今回はその考え方や対応について具体的に解説します。
1.認知症の方に対する基本姿勢|パーソン・センタード・ケア
まず、認知症の方と関わる上で大切な考え方があります。それは、「パーソン・センタード・ケア」というものです。
「パーソン・センタード・ケア」とは、
年齢や健康状態に関わらず、すべての人々に価値があることを認め、一人ひとりの個性や人生背景を尊重しながら、認知症のを持つ「その人の視点」を大切にしたケアの考え方です。
これは
・あらゆる人々の価値を認めること
・個人の独自性を尊重すること
・その人の視点に立つこと
・相互に支えあう社会的環境を提供すること
の4つの要素から構成されてます。
つまり「認知症」という病気を見るのではなく、「その人」個人を見ることが大切ということです。
2.認知症の方がリハビリや入浴を拒否する理由
よく、拒否をする理由として
・認知症による無気力感
・プライドの高さから介護されることへの拒否感
などが聞かれることがあります。
しかし、理解しておかなければならないことはパーソン・センタード・ケアの観点から考えると、
「拒否する理由は人それぞれ」
ということです。
リハビリや入浴への拒否に対応する際はまず、その人の拒否をする理由を知る必要があります。
3.現場でよく見るリハビリや入浴への拒否に対するNG対応
リハビリや入浴を拒否する方に対して「もういいから行きますよ」と理由に耳を傾けず、無理に連れていくスタッフを時折見かけます。
確かに、この対応はその場ではリハビリもしてくれますし、お風呂にも入ってくれるかもしれません。
しかし、
・本人のやる気のない状態でのリハビリでは運動効果が薄くなってしまう
・次のリハビリや入浴では結局また拒否されてしまう
・「どうせ聞いてくれない」とスタッフへの不信感が高まりその他のBPSD症状が高まる
といったデメリットが伴うため、短期的には成立しても、長期的なケアとしてはNGな対応と言えます。
こちらの「して欲しい」という思いより先に、相手の「したくない」思いに耳を傾けましょう。
4.リハビリや入浴拒否にどう対応するか|基本的な順序
まず、リハビリや入浴拒否に対して必ずやることは
・拒否を否定しない
・理由に耳を傾け、共感する
の二つです。
こちら側のリハビリや入浴をして欲しい理由や必要性を話すのはその次です。
また、認知症の方々は社会性が保たれている場合こともあり、
「○○してほしい」と行動を強制するのではなく、「○○をしてくれると私たちが楽だな」といった、人の為と思ってもらうことで拒否がなくなる場合もあります。
5.それでもリハビリや入浴拒否を続ける場合|①行動のイメージを変える
それでも拒否を続ける場合、本人にとって
・リハビリは疲れるし面倒くさい、面白くない
・入浴は体を流すだけなのに面倒くさい
と、そもそもそれぞれに良いイメージがないことが考えられます。
そのため、
・「この人が来たら楽しいことができる」
・「この人は私の話を聞いてくれる」
と思ってもらえるよう信頼関係を築くところから始めています。
リハビリの場合は、
・本人の好きなスポーツやレクリエーションを絡めたリハビリをする
・運動は二の次とし、とにかく会話をすることで「この人と話すのは面白い」と感じてもらう
と目的を変えることで「運動⇒疲れる⇒面倒」の悪いプロセスを抜け出すことができ、次回以降のリハビリの受け入れが変わることがあります。
入浴でも同様に、
・「今日は温泉のお湯ですよ」
・「お風呂で一緒にゆっくりお話ししましょう」
のようにいつもと違うことを印象つけることで入浴は嫌なものではないと思ってもらえることがあります。
6.それでもリハビリや入浴拒否を続ける場合|②その先で何をしているか
どんなに「傾聴」や「共感」を持って対応しても、相手からしたら「嫌なものは嫌」です。
その場合は一度、引いてみましょう。
ここで大切なのはリハビリや入浴を拒否した時間で「何をしているか」です。
例えば、
・同室の利用者と楽しくお話している
・自分の好きなテレビを見たり読書をしている
のように、自身のやりたいことをしている場合はその方にとってリラックスできる時間です。
やりたいことがあるのにも関わらず別の行動で縛ることは、私たちでも嫌な思いをすることは容易に分かると思います。
反対に、
・部屋で寝ている
・座ってぼーっとしている
というような状況は社会性がなく、無気力な状態です。
それは、その方にとって「良い状態」とは言えないでしょう。
まずはその方が無理なく担える範囲での「役割」を与え、感謝・賞賛を通して自己効力感を高めていくことが重要です。
7.リハビリや入浴拒否をする方に対しての対応ポイント|総括
リハビリや入浴に対しては
①理由に対して「傾聴」・「共感」を示す⇐一番大切
②その行動をしてほしい理由の説明をして納得してもらおうとする
③「してくれると私たちが助かる」と社会性に訴えかける
④その行動へのイメージ・目的を良いものに変える
⑤拒否した先で何をしているか観察する。
といった対応をすることで、受け入れてもらえたり、本人の自尊心が保たれます。
また、認知症の方がどのような状態であれば本人にとって良い状態なのか、以下の記事で紹介しています。合わせてお読みください。
⇒認知症を持つ方の「良い状態」とは?ケアの見極め方を解説
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